補聴器をしても聞こえない?病院での調整と「脳」トレーニングが必要な話|まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニック
◆まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニックは、補聴器適合検査基準を満たしたクリニックです。
毎週土曜日にはS T(言語聴覚士)が常駐し、補聴器の調整や相談検査を行なっています。また、院長は補聴器適合判定医の資格を有しております。

補聴器をしても「聞こえづらい」のはどうして?どうすれば改善するの?

補聴器をしても「聞こえない」あるいは「聞こえづらい」のはなぜ?どうすれば改善するの?

今日はそんなご質問にお答えするべく、まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニックの言語聴覚士よりコラムをお届けいたします。

言語聴覚士K
今日は、「補聴器をしても聞こえづらい」というお悩みに対し、言語聴覚士の視点から、最近主流の「聞こえを改善するために脳を鍛える。」という考え方をお話します。

補聴器を使用することで「脳」を鍛え、聞こえを改善していきます。

まず、補聴器を使用して「聞こえ」を改善していくには、補聴器を使用しながら「脳」を鍛えていく必要があります。

「耳のことなのに、脳を鍛えるってどういうこと?」そんな疑問を感じられるかもしれませんね。

しかし、「聞こえ」を改善するために「脳」を鍛えていくという方法は、最近の主流の考え方になっています。

簡単にご説明をすると、補聴器を使用することによって、「聞こえない状態の脳」の状態から、「聞き取りに十分な音量でも聞き続けられる脳」に変化させていくというわけです。

そして、脳を鍛えていくためには、定期的な器具の使用調整と、徐々に音量を上げていくトレーニング(リハリ)を約3ヶ月ほど、継続的に続けていく必要があります。

3か月と聞くと、長いと感じられるかもしれませんね…。

 「3か月」の継続的なトレーニングが必要だと聞くと、長いと感じられるかもしれませんね。

しかし、一つの季節が過ぎるころには効果を感じられるようになっていくので、聞こえのトレーニング(リハビリ)の成果を正しく把握して維持するためにも、

定期的に耳鼻咽喉科で聞こえの状態を確認していただけたらと思います。

長く補聴器をしていても「聞こえづらい」?その場合は、補聴器の調整方法を見直していきます。

一方で、「補聴器を使用して、しばらく時間が経っているのに聞こえ辛い。」といったお声を頂くこともあります。

上記でご説明した通り、「聞き取りに十分な音量でも聞き続けられる脳」を鍛えていくには、少なくとも3か月以上時間が必要である点はすでにお伝えしたのですが、

しばらく補聴器を使って時間がたっているのに、「聞こえづらい。」という場合はどうすればよいのでしょうか?

その場合、どんな状況・どんな場所で「聞こえづらい」のか、お話をお伺いして補聴器の調整をしていきます。

実は、おなじ「聞こえづらい」という表現であっても、患者様の感じていらっしゃる状況によって、補聴器の調整方法が異なるのです。

例えば、以下の1~8までの症状を同じ「聞こえづらい。」「ことばがはっきりとしない。」と表現頂いた場合を考えてみましょう。

「聞こえづらい」「ことばがはっきりしない」の例

  1. 言葉がはっきり聞こえない
  2. 周囲の音がやかましい
  3. 自分の声が響く
  4. とにかくやかましい
  5. 食器の音・紙の音が強い
  6. 片耳で言葉の明瞭さがわからない
  7. うるさくて使えない
  8. 会議で声が聞こえない

このように、同じ「聞こえづらい」という表現でも、1~8に対する対処法・調整法はすべて異なるのです。

そのため、いったいどんな時やどんな場面で「聞こえづらい」と感じられるのか。

詳しい「聞こえ」のお困りごとを病院でご相談いただくことで、最適な方法を一緒に考えていくことが必要になります。

補聴器を十分に調整したのに、ことばがはっきりと聞こえない…?

ここまで、補聴器を利用するうえでは「3か月以上の長期的なトレーニング(リハビリ)」を通して、脳をトレーニングしていくことが必要であること。

同じ「聞こえづらい」という表現でも、その時・場面によって、補聴器の調整方法が異なることをお伝えしてきました。

しかし、「補聴器を十分に調整してきたのに、ことばがはっきりと聞こえない。」とご相談いただくこともあります。

音が小さくなって伝わる「伝音難聴」と、言葉のゆがみを伴う「感音難聴」、「混合難聴」について。

まず、前提としてお伝えしておくべきことといたしまして、「伝音難聴」と「感音難聴」、そして、伝音難聴と感音難聴両方の障害による「混合難聴」について説明します。

まず、音が小さくなって伝わる「伝音難聴」とは異なり、言葉のゆがみを伴う「感音難聴」の場合、補聴器を使用して耳にはいってくる音を大きくしたとしても、言葉のゆがみを修正することができません。

したがって、どんなに完ぺきに補聴器の調整を完了したとしても、言葉の聞き取りにくさを完全に修正することができないことがあります。

これは、どんなに高価なデジタル補聴器においても厳しいという現状があるため、

「補聴器を使用すれば、聴こえていた時と同じだけはっきりと音が聞こえるようになると思っていたのに、期待していたほどはっきりと聞こえない…。」と落胆してしまうことがあるかもしれません。

しかし、そういった聞き取りにくさに補聴器の限界を感じながらも、補聴器の使用を軌道に乗せ、しっかりと活用される方もたくさんいらっしゃいます。

具体的な方法として、例えば…。

  • 補聴器は騒音や距離に弱いので、会話するときは周囲の騒音を消して、近づいて話す。
  • 話し手の口の形や表情、身振りなど視覚的な情報を活用する。
  • 確実な情報交換を実現するため、相手の言葉を聞こえた通りに繰り返して会話内容を確認する。
  • 聞き取りに草は、相手の話し方によって左右される。

など、補聴器の効用と弱点の両方を理解しながら、聞き取りにくさをカバーしていく方法が多くあります。

補聴器の効力と、補聴器の限界についての理解を深めながら、病院で適切に調整された補聴器を使って、トレーニングを行っていきましょう。

まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニックは、補聴器適合検査の基準を満たしたクリニックです。

まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニックは、聴力検査室に「音場閾値」を測る装置、「補聴器効果測定機器」を設置し、補聴器適合検査の施設基準を満たしたクリニックです。

当院に配置した上記設備によって、いっそう詳しい聴力検査を行えるようになりました。

また、土曜日には「認定補聴器技能士」「言語聴覚士」が患者様のご相談をお受けしております。
(2019年12月現在の情報です。/曜日の変更の可能性もあります。)

補聴器の購入を検討されている患者様には、補聴器のお貸し出しも致します。

まずは試聴いただいてから、おひとりおひとりにあった器具を改めてご提案します。(※既にお持ちの補聴器があれば調整も可能です。)

ぜひ、お気軽にご相談ください。

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