高齢者の難聴について
加齢に伴う難聴は周囲の理解が必要です
この記事の要約
高齢者の難聴では、会話に支障をきたし、社会的な孤立を経て認知症に至る危険性が増します。周囲のサポートが重要です。「聞こえにくい。」そう気づいたら、早めの受診をお勧めします。

こんにちは、まつだ耳鼻咽喉科宮崎サージクリニック院長松田 圭二です。この記事では、高齢者難聴の大部分を占める加齢性難聴の特徴、補聴器治療を取り巻く現況を概説します。

加齢性難聴の特徴

まず、加齢に伴う難聴は、多くは両側対称性、聞こえるけど小分かりしない、音はすれども聞き取れない等の特徴があります。

25dB(デシベル)以上の難聴者の割合は、65歳以降急激に増加し、70〜74歳では約5割、75〜79歳では約7割、80歳以降では約8割という結果です。

気づかぬうちに進行する難聴に気づくには

難聴の多くは職場を退職した後に徐々に進行することが多く、患者自身、医師、家族さえ難聴があることに気付かないまま進行していた、ということも珍しくありません。

「なんだか最近聞こえづらいかな?」と感じたら、一度病院で検査を受けることをお勧めします。

自宅でできる「ささやき声テスト」

それでも、病院に行くかどうか迷うなあ・・・・。

という方は、特別な道具なしで行える簡単なスクリーニングテスト法「ささやき声テスト」をやってみてください。

検者は患者の約60センチ後方(腕の長さほど)に立ち、後ろからささやき声でテストします。ささやき声が聞こえれば、少なくとも30dB HL(デシベル ヘルツ)の聴力に相当します。

数字または単音節語(胃、絵、など)を6回ささやき、3回以上正解できないときに難聴の疑いありとなります。

この方法は、経験のない検者でも比較的安定した結果を出すことができ、信頼性が高いものです。

難聴を示すサインを見逃さないようにしよう

高齢者において聞き返しが増えた、話し声が大きいなどは、難聴を示すサインです。

まず周囲の人間が気付き、耳鼻咽喉科受診をすすめることが大切です。

耳鼻咽喉科では、鼓膜所見、聴力検査で難聴を示す疾患を鑑別します。耳垢除去や中耳治療で改善する難聴も多くあります。最終的に加齢性難聴と診断され、必要度が高い方に補聴器がすすめられます。

補聴器の聞こえに慣れるまで焦らず根気強く

多くの高齢者にとって、自己の難聴を受け入れ、高額の補聴器を購入し実生活に活用していく過程は希望に満ちた行程ではありません。

客観的に補聴が必要な程度の難聴を指摘された高齢者のうち、実際に装用しているのはわずか10〜20%であるという報告もあります。

補聴器装用により、今まで聞こえていなかった様々な生活音(トイレを流す音、車の音等)がはっきり聞こえるようになります。

健常聴力者が気にも留めないこのような音が、激しく異常な音として高齢者の脳に響き、「うるさい」という理由で直ぐに使うのを止めたなどの話もよく聞きます。

補聴器はつけるだけで聞こえるようになる道具ではないのです。

使えるようになるには忍耐強く使い続け、脳に昔聞こえていた音を思い出させることが必要です。

医療者の役割は、補聴器を使い続けるように粘り強く高齢者を励ますことに尽きます。

大抵の方は3ヶ月くらいかけて補聴器に慣れて、よく聞き取れるようになります。

補聴器が役に立つようになるには、時間がかかるのです。

 

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